
ひとふりで、料理は別の景色へと変わる。
五味は、檸檬茅(レモングラス)の澄んだ息吹。
陰干しで仕上げられたその清涼感は、料理だけでなく、
飲み物のグラスにも新たな香りを吹き込む。
六味は、希少な国産山椒の凛とした香り。
舌にのせた瞬間、ピリリと弾け、昆布の余韻があとを追う。
七味は、玄界灘に浮かぶ島で育った柑橘「元寇」。
唐津唐辛子の香ばしさの後に広がるみずみずしさは、
一匙の中に秘められた、海と風の記憶のよう。
辛さはただ刺激ではなく、香りと重なり、
時間とともに広がる余韻となる。
三つの唐辛子、それぞれの物語を、食卓に。
shichimi